
『テロルの決算』 文春文庫 沢木 耕太郎 (著)
昭和35年、社会党党首である浅沼稲次郎代議士が講演中の壇上で当時17歳の少年に日本刀で殺害された事件を扱った内容。
初版は1978年で 今年改装版として出版されている。最近元厚生省幹部の刺殺事件があったが、その前に出版されており、なんともこの事件が発生するのを見越して出版されたのでないかと思うほどである。初版から30年たった今でも内容は色あせていないように思う。取材内容の量が多く、その当時の社会背景はもちろんのこと、加害者側と被害者側の背景が詳細に書かれており著者の緻密な調査が伺われる。その当時はまだ少年とはいえ、加害者や家族も実名で報道されたようだ。結局この少年は現場で逮捕され拘置所で自殺してしまうのだが、17年という短い人生で何故純粋な心をもった少年がどのような経緯で右翼思想にはしり、結果としてこのような事件を起こしてしまったのかが語られているのだ。
今のマスコミは興味本位の覗き見的で、さらに知ったかぶりのコメンテーターが余計なコメントを加えて視聴者に考える余地を与えないような報道が多いように思える。この本は著者の考えは含まれておらず、読者にそれを考えさせているのだ。