
『阿片王』 新潮文庫 佐野眞一(著)
満州帝国の時代、中国人以上に中国語を使いこなし、そして中国社会に溶け込み、阿片により莫大な日本軍の資金を生み出し「阿片(アヘン)王」と呼ばれた里見甫の生い立ちを追ったノンフィクションルポ。既に彼を知る人々は鬼籍に入った人が多いのだが、それでも執拗に現存する人々に取材する著者の執念には恐れ入る。 この本を出版するのに10年を費やしたと書いているが、あながち嘘ではないだろう。
またこの「阿片王」なる人物は最初は新聞記者として満州で働いていたそうで、今の共同通信や電通を発足させた人物である。阿片王と関係のあった、政治家、軍人、経済人そして幾多の女性たち、
一度読んだだけではこの関係は把握しきれず、読むのに非常に時間がかかってしまった。
読了後でもたぶんこの人間関係は50%ほども理解できていなように思う。
末尾に参考文献として100冊以上の文献が載せてあり、著者はそれを穴があきそうなぐらいまで読んだというのだから、私のような人間が一度読んだだけでは理解できないのは 当然なのかもしれない。
満州の歴史に興味があれば お薦め度は8点でしょう。興味なければ0点。
著者の労力にはただただ敬服するのみ。