日々の読書記録など
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『落語家はなぜ噺を忘れないのか』 
2008-12-25 Thu
落語家は
『落語家はなぜ噺を忘れないのか』 角川SSC新書 柳家 花緑 (著)

今最も人気のある落語家の一人である著者では、どのようにして落語を覚えたを記している。師匠でもありまた祖父でもある五代目柳家小さんから多くを学びそれを自分の芸として磨きあげていくためには、外からは見えない多くの苦労が伺える。
ただこれは苦労話の本ではなく、江戸時代から受け継がれてきたこの落語がいかに奥深い芸能であるかを言っているのだ。
弟子のなかには師匠から教わった噺をその場で憶えることのできる天才肌がいる反面、著者はそのような天才肌ではなくテープやDVDから師匠の言葉をノートに一字一句書き取って憶えているようだ。そういう意味では著者は凡人であり、その苦労があるからこそ今の人気があるのだろう。
落語家の成長の過程を「守・破・離」と言っている。「守」は簡単に言えば丸暗記で基礎を固め、「破」は出稽古に出て他の師匠や流派を学び、「離」は最後の段階で自分のもちねたにすべく噺を練り直すといっている。
ITの時代にこのように古くからの伝統を口伝えで伝承していく技術、文章などでは表現できない部分が多々あると思われる。しかしながらこの本では師匠が惜しみなく弟子に伝えていく姿がよく表現されている。今日本の会社はこの伝承していく技術が失われつつあるが、やはりこれは成果主義という考え方がはびこっているためではないだろうか。
たぶんこの本は若手落語家に読んでもらいたいと思い書いたのだろう。立川談春著「赤めだか」に触れていたが、まだ読んだことがないので
いつか読んでみよう。
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『子どもの最貧国・日本』 
2008-12-24 Wed
子供の最貧国
『子どもの最貧国・日本』  光文社新書 山野良一 (著)
児童相談所に勤める(ソーシャルワーカ)が日本の児童福祉の実態を書いている。著者は2年間研修としてアメリカでソーシャルワーカーとして 経験をもつ。アメリカでの経験を踏まえ、いかに日本の政治が貧困家庭における子供を冷遇しているかを述べているのだ。つまりは今の日本は貧困家庭の子供がまた貧困家庭を生み出す負の連鎖から抜け出せない人々が増えていて、その連鎖から脱するために国として援助がもっと必要だといっている。この本では多くのデータが使われており、例えば家族の年収とその児童の知能指数の関係、シングルマザーとIQの関係などなど それなりのデータはあるが全てはアメリカのデータに基づくものであり、そのまま日本にもあてはまるわけではないと思う。しかしながら日本ではそのような調査もしていないので仕方ないのだろう。
自己責任としてそのような児童を持つ家庭自体に問題があるのは確かではあるが、貧困の子供たちが増えていくことイコール国力が衰えていくことになるのだから、やはり現状での生活保護制度や児童擁護制度には問題があるのだろう。
私も子供のころはお世辞にも裕福な家庭とは言えなかったが、周りも同じような家庭ばかりだったので子供ごころにも貧富の差は感じなかった。今は子供でも貧富の差を感じてしまうような社会環境が一番の問題なのかもしれない。
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『人が壊れてゆく職場』 
2008-12-18 Thu
人が壊れていく職場
『人が壊れてゆく職場』 光文社新書 笹山尚人 (著)

労働者が不当な解雇をされた場合、どのように対処すべきかを、いろいろな労働に関する裁判を手がけてきた弁護士が書いている。今まさに旬の本といえるだろう。今は連日失業者が3万人増えるだとか済むところがなくなるだとか、大衆に不安を覚えさせるようなニュースばかりが流されているが、実際は倍以上の数値ではないかと思える。それに今が景気のどん底のように報道されているが、これは入り口であって来年はさらに景気が悪くなるような気がする。バブル時代でもないのに1ドルが90円以下というのは来年多くの企業が苦しむのは目に見えているのだ。
この本で載せている労働者とは正規雇用ではなく、非正規社員のことで派遣や委託、期間労働者のことである。派遣会社と数ヶ月の契約をしたにもかかわらず、途中で解雇された場合、裁判や和解により残りの期間の賃金や慰謝料(小額)を取れるようだ。しかしながら職場復帰は裁判でも難しいようだ。
しかしほとんどの人は泣き寝入りだろうな~。それに今現在の社会状況では難しいだろう。
数年前に殆どの業種で派遣が可能になったのだが、それが仇となり今社会問題となっているのだ。
不況になれば即座に解雇される派遣社員、このような状況が予想されるのはわかりきったことであるのに何故政府は対策を打ち出せないのであろうか?
本書を読んで思ったのは派遣会社と派遣先会社でとりかわした賃金と、派遣社員の賃金には差がありすぎ、つまりは中間搾取の金額がなんと多いことか。これこそ濡れ手に粟ってやつだ。
弾劾すべきは派遣会社だ!
なかにはまともな企業や派遣会社もあるとは思うが、非正規雇用者を道具にしかみていない企業が多いようだ、実際私もそうだった。私も以前は派遣として働いていたが、派遣先と私との間には2,3社(もしくはそれ以上)入っていた。命令系統が複雑でいくつの会社があったのかはっきりしないのだ。二重派遣は違法だがそんなものは書類のつくり方でいくらでも抜け道はあるのだ。たぶん今はもっとひどい状況だと思う。その当時私が手にする金額は派遣先が出す金額の半分以下3分の1に近かったと思う。あ~っ、書いていてだんだん腹がたってきた、ここらへんで止めておこう。

これじゃますます日本のモラルは低下するだろうな。
ユニオンなどにお世話にならなくても生活できるよう今の仕事を頑張るのみだ。
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『アフリカ・レポート』 
2008-12-17 Wed
アフリカレポート
『アフリカ・レポート』 岩波新書 松本 仁一 (著)
元朝日新聞の記者が今のアフリカをルポした内容。先日読んだ『朝日新聞記者が書いたアメリカ人』は読むに値しない本であったが、この本はジャーナリズムの本筋と云うべき内容である。
私はほぼ毎日各大手新聞社の社説をインターネットで読んでいるがアフリカの話題となると年に数件の記事があるだけだと思う。数ヶ月前にジンバブエの不正な選挙が各社の社説に書いてあったが、その記事を読んでも不正になった背景やアフリカの歴史や現状がわからないため、私にはよく理解ができなかった。100行も満たない社説なので理解するのは難しいであろう。
内容は大きく分類すると3つである
一つ目は今のアフリカの抱える問題である。インフレ率が10万パーセントを越えるジンバブエなど全く政治が機能していない国をルポしている。 ここまでインフレ率が高いと、1万%だろうが100万%だろうが同じようなもので完全に経済は崩壊しているのだろう。これじゃいくらODAなどで各国が資金提供しても政治家や高級官僚の懐に収まるだけでお金をどぶに捨てるようなものだ。
二つ目は治安が悪く各国が経済封鎖をしている最中でも、中国は官民こぞってアフリカの各国に入り込み、その国の資源とお金を自国に送り続けているということ。
さすが恐るべし中国、もし人類が将来火星に移住することができたら、まず最初にリトルチャイナができるんだろうな~。
三つ目はそんなお先真っ暗な国々であっても、援助に頼らず自立していこうとする人々やグループがありその自立を手助けしている日本人たちがいるということ。 今のところは弱く微かな光ではあるが、希望の光が見えるということだ。お金の援助ではなくこのような自立を促す援助が必要なのだろう。官ではなく民間企業が進出すべきなのかもしれない。
これは非常に読む価値のある本だと思う。お薦め度は8点。
私が今年読んだ本の中でもベスト10には入るだろう。
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『決断力』
2008-12-15 Mon
決断力
『決断力』  角川oneテーマ21 羽生 善治 (著)

決断力とは何か? それは自分で責任を負えるからこそ決断だできるのだと言っている。プロ棋士とアマの違いは高い集中力が長く持続できるかどうかの違いがあると言っている。
たしかにこの人は将棋界では何十年に一人の逸材なのだろう。一局終えると体重が2,3キロは落ちるそうで、我々一般人には想像もできない、集中力と持久力が必要な世界なのだろう。将棋は約400年の歴史があるなかで名人の座まで辿りついた人は数えるほどしかいないようだ。スポーツの世界ではやはり体力の限界や故障もあり長く頂点に留まることはできないが将棋の世界はスランプはあるにしろ精神力の続くかぎり定年もないので十何年間も頂点に留まることができるのかもしれない。
プロスポーツとは違うが、勝負の世界でプロとして生きるための厳しさを書いている。しかしこの人は挫折したことがあるのだろうか? たぶん挫折も経験したことだろう、いかにして挫折を克服するかも書いてもらいたかった。
インドから派生した遊びが日本に渡り将棋へと変化したそうだ。西へいけばそれがチェスになり東に行けばそれが囲碁になったようだ。しかし、相手から奪った駒を自分の駒として再利用できるのは将棋だけだそうで、そういう意味では日本独自のゲームといえるのかもしれない。
私の勝手な思い込みだが、なぜ将棋だけが相手の駒を自分の駒として再利用できるのかと考えた場合、日本は戦国時代の昔から相手を完膚なきまでに叩きつぶすというより、陰謀と策略によりいかに相手を寝返させるかに重点をおいた、または戦国武士の日和見的な性質が日本の風土としてあるからかもしれない。
今の政治家に日和見的なところが多いのは、この日本的風土が連綿と受け継がれているのかもしれない。
お薦め度 7点
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『朝日新聞記者が書いたアメリカ人「アホ・マヌケ」論 』 
2008-12-12 Fri
朝日新聞記者
『朝日新聞記者が書いたアメリカ人「アホ・マヌケ」論 』 講談社 +α新書  近藤 康太郎 (著)
タイトルどうりこれはアメリカ ニューヨークに駐在する朝日新聞社の特派員である著者の目からみたアメリカを紹介しているのだ。アメリカの情報は日本では掃いて捨てるほど情報が氾濫しているので、買って読むほどの内容ではないように思う。
「何故アメリカではサッカーがあまり見られていないのか?」
著者の考えは、サッカーは試合時間が長く途中でCMを入れにくい、また視聴者もビール片手に観戦するため試合の途中でトイレに行きずらい と書いてあった、、、ホントかな~
それに比べアメフトは中断が多くCMも入れやすいためTV中継には向いているそうな。
以前アメリカ留学経験のある会社の同僚が言っていたが、「アメフト(特に1月に行われるスーパーボール)があんなに人気があるのは、みんな勝敗にお金を賭けて観戦しているからだ。お金が懸かっているからこそあの異常なほどの興奮で観戦しているわけで、お金を賭けなければあれほど盛り上がることはないだろう」、、これもどうだか?? ただそれを聞いた当時は妙に納得してしまった。
アメリカはアメリカ人の思っている『自由』と『正義』を絶対的な自信(確信)を持って他国に『強要』する国だが、日本はそれよりも劣っていると著者は言いたいのだろう。最後まで読むと「アホ・マヌケ」はアメリカ人に対して言っているのではなく、日本に対して言っているのではないかと読めなくもない。
なんだこれはアメリカかぶれの新聞記者が書いたよもやま話なのだ。
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『テロルの決算』
2008-12-10 Wed
テロルの決算
『テロルの決算』 文春文庫  沢木 耕太郎 (著)
昭和35年、社会党党首である浅沼稲次郎代議士が講演中の壇上で当時17歳の少年に日本刀で殺害された事件を扱った内容。
初版は1978年で 今年改装版として出版されている。最近元厚生省幹部の刺殺事件があったが、その前に出版されており、なんともこの事件が発生するのを見越して出版されたのでないかと思うほどである。初版から30年たった今でも内容は色あせていないように思う。取材内容の量が多く、その当時の社会背景はもちろんのこと、加害者側と被害者側の背景が詳細に書かれており著者の緻密な調査が伺われる。その当時はまだ少年とはいえ、加害者や家族も実名で報道されたようだ。結局この少年は現場で逮捕され拘置所で自殺してしまうのだが、17年という短い人生で何故純粋な心をもった少年がどのような経緯で右翼思想にはしり、結果としてこのような事件を起こしてしまったのかが語られているのだ。
今のマスコミは興味本位の覗き見的で、さらに知ったかぶりのコメンテーターが余計なコメントを加えて視聴者に考える余地を与えないような報道が多いように思える。この本は著者の考えは含まれておらず、読者にそれを考えさせているのだ。
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『黒い太陽(上、下)』
2008-12-04 Thu
黒い太陽
『黒い太陽(上、下)』 祥伝社文庫 新堂 冬樹 (著)

夜の商売であるキャバクラの世界での熾烈な競争を描いた内容。簡単に言ってしまえば、お互いのお店の従業員やキャスト(ホステス)を引き抜きそして引き抜かれてしまうドロドロした弱肉強食の夜の世界を書いているのだ。
現実はここまでドロドロした世界なのかどうかはわからないが、狭い世界だし近いものがあるのかもしれない。パチンコ業界や風俗業界では目の前で大きな現金が飛び交うので、一般サラリーマンの世界以上に嫉みや嫌がらせが露骨にあらわれるのだろう。
会社内や企業でも同じようにドロドロの世界はあるがここまで露骨ではない。しかし最近では会社も成果主義が導入され以前に比べれば少しはドロドロになったかも。やはり会社は利益があってこそであり、今のように景気も落ち込みリストラが頻繁に行われるようであれば職場の雰囲気が悪くなっていくのはしかたのないことなのかも。
私の知らない世界の話でなかなかおもしろかった。同じ作家で闇金融のことを書いた小説があるみたいなので、それも読んでみようかと思う。
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『謀将 直江兼続〈上・下〉』
2008-12-02 Tue
なおえかねつぐ
『謀将 直江兼続〈上・下〉』 徳間文庫 南原 幹雄 (著)

来年のNHKの大河ドラマとあって書店ではこの「直江兼続」関連の本が多かった。私はHNKの大河ドラマは見ないのだが、話題として知っておこうと思い読んでみた。殆どの本が上杉謙信が存命中から関が原の戦いまでの間の、いちばん主人公が活躍していた時代を描いているのに対し、この本は関が原以降の上杉家が徳川家康より120万石から30万石に減移封され、徳川家康が歿するまでの時代を描いている。ゆえにこの小説では兼続が30万石に減封された恨みを持ち続け徳川家康が歿した後、徳川幕府に対し謀反を起こしてしまうのだが、史実にはこのようなことは記されていないので、作者の創作だろう。小説なので史実とは異なった内容でもかまわないのだが、あまりにも創作部分が多いと私としては少し違和感を感じてしまう。やはり歴史小説は史実が7割あとは小説家の力量といった感じがよいのではないかと思う。
直江兼続を読みたければ この本以外がお薦めだろう。
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