日々の読書記録など
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『邂逅の森』 
2008-07-30 Wed
KAIKOUNOMORI
『邂逅の森』 文春文庫  熊谷 達也 (著)  お薦め度 9点

大正から昭和にかけて東北地方でニホンカモシカや熊の狩猟を生業とした「マタギ(猟師)」の物語。
「山の神」を尊崇し、決して必要以上に狩猟することもなく山と共に生きてきたマタギ衆であったが時代はおりしも戦争へと進んでいき、毛皮などが高値で取引されるようになる。それにともない俄か猟師がふえていき数多くの動物が乱獲されていく。主人公はマタギを辞め、銅鉱山で鉱夫として働き始めるが、鉱山での事故をきっかけに再びマタギとしての血が目覚め、狩猟生活に戻る。
山の神を畏れそして信仰する気持ちと、少しでも多くの現金収入を得ようとする欲望が主人公のこころで葛藤する。主人公はその答えを山の神に聞くため最後の狩猟へと山に行く、、、
この小説に貫かれている主題は「人間と自然との共生」だろう。物語の中で「お天道様にさからって人間は生きていけない」とか「本来動物は野山で駆け回っているのが幸せであって、そうした幸せを最初から奪っておいて殺すのは、決していいことではない、、、」などのくだりがあり、なかなか考えさせられてしまった。小説の前半部分はそうでもないが、後半部分からだんだんと惹きこまれてしまった。

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『崖っぷち高齢独身者』 
2008-07-24 Thu
崖っぷち高齢
『崖っぷち高齢独身者』 光文社新書 樋口康彦(著)
著者は現在42歳独身。大学で社会心理学を専攻し、現在は富山県にある大学の講師をしていて、自身がお見合いパーティや結婚相談所で経験した内容を書いてある。
高齢独身者の定義としては男性は38歳以上、女性は33歳以上、もちろんこれはあくまでも著者自身の定義であり、一般世間で言われていることではない。 このようなことを言うと、差別やセクハラになり、思っていても誰も言わないだろうけど。
著者はこのような高齢独身者のことを「結婚弱者」と呼び、「このような結婚弱者は社会的にもひきこもりになっている人が多いい、、、、本人自身に問題がある人が多いい、、、」のような辛辣なことが書いてあり、まじめに結婚を悩んでいる人やその両親が読めば途中で本を投げ捨ててしまいそうな読者がいてもおかしくないだろう。
内容は殆どが主観的な内容で客観性に乏しいが、本人自身が体験し苦悩した内容を記しているので、まあゆるせるのかもしれない。
お見合いパーティーや結婚相談所に登録しようとする人たちのための、初心者入門書ではあるが、
うがった見かたをすれば、結婚するための一つの手段として、この本を出版したのでは?
と思えてしまう。
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『寝ぼけ署長』 
2008-07-18 Fri
寝ぼけ署長
『寝ぼけ署長』 新潮文庫 山本 周五郎 (著)

茶者には珍しく時代小説ではなく警察署長を主人公にした推理小説風の短編集。
新しく赴任してきた署長は毎日デスクで寝ているばかりで、周りからは「寝ぼけ署長」と呼ばれている。 しかし不思議なことに署長が赴任してから市の犯罪件数が激減する。山本周五郎らしく殺人事件のない小説であり人情味溢れる内容。
前回読んだのが『物乞う仏陀』で あまりにも残酷非道な内容だったので、このような本を読むのも必要だろう。
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『物乞う仏陀』 
2008-07-16 Wed
物乞う仏陀
『物乞う仏陀』 文春文庫  石井 光太 (著)
物乞いせざるおえない貧困層の障害者をカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム、ネパール、インドなどでルポした内容。障害になった原因は、先天的に脳に障害がある人や、麻薬などにより障害になった人、ハンセン病、戦争や地雷、マフィアによる誘拐など様々。
著者はその人々の暮らす村やグループに潜入し取材をしている。時には身に危険もおよぶ取材もあり、よくここまで取材したものだと思う。壮絶、悲惨、地獄、、、などの言葉しか浮かんでこないような生活であり、筆舌に尽くしがたい内容ばかりで、最後のインド編を読むころには途中で読むのを辞めてしまおうと思うくらい。
日本で暮らす我々には想像もできない世界があるのだと あらためて思いしらされてしまう。しかしこれも現実、なぜそこまでして生きていられるのだろうと人間としての根本の問題を考えてしまう。
現世のご利益ばかり考えている日本人にとっては、とても理解できない世界なのかもしれない。
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『反転―闇社会の守護神と呼ばれて』 
2008-07-11 Fri
反転

『反転―闇社会の守護神と呼ばれて』 幻冬舎アウトロー文庫  田中 森一 (著)

著者は辣腕で知られた元検事。バブル時代に弁護士に転身して、経済事件の弁護に携わる。
石橋産業事件にからみ東京地検より詐欺罪で起訴され現在服役中。
大物の代議士や暴力団幹部、不動産関係者の弁護を行っているうちに「闇社会の守護神」と呼ばれるようになる。やはりバブル時代にあまりにも儲けすぎて元同僚の検事達のヒンシュクを買い起訴されたのかもしれない。(たぶんそうだろう)
内容は貧しかった幼少時代からの生い立ちや、検事時代に手がけた事件なども記しているがなんといっても、弁護士に転身後に数々の弁護に携わった内容が非常におもしろい。
要はこれは政、財、官とヤクザなどの闇社会の人間関係を書いた暴露本なのであるが、そこらへんの経済小説など比べ物にならないくらい面白い。それも全て実名で記されているので、ここまで書いて大丈夫なのか? と思ってしまう。まあ今は服役中なので身に危険がおよぶことはないのだろうが。

永田町の牛若丸と呼ばれた、埼玉県選出の元代議士で労働大臣も務めたことのある山口敏夫(周りでは『チンネン』とあだ名されていたようだ)についてのくだりは情けないというか笑える。彼の場合、政治のために金が必要ではなく、自分のお金のために政治家をやっていたようだ。同じような政治家は他にも多くいるだろうが、あまりにも露骨すぎたため逮捕されてしまったのだろう。今はこのような政治家がいないことを望むが、本書の中でも現役代議士の名前もちらほら出てくるしやはり今でもバブル時代とはそう変わっていないのかもしれない。

この本はお薦めです。
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『自治体格差が国を滅ぼす』
2008-07-03 Thu
自治体格差が

『自治体格差が国を滅ぼす』 集英社新書  田村 秀 (著)
以前に「港区ではベンツがカローラの6倍売れている」を読んだが、この本も内容は似ている。
夕張のように借金まみれの自治体もあれば、東京や東京ディズニーのある浦安市みたいに国からの交付金も受けずに税金だけでもやっていける自治体もあり、年々その格差が広がっていることに問題を投げかけている。港区の平均年収が1000万弱なのに対し青森や沖縄などは200万強と書いてあり隣国の中国ほどではないにしろ、ここまで差があるのには驚き。
競争社会の中で差が出てくるのは当然だし、同じ会社の中にでも事業部間の差や地域ごとの差
が存在する。しかし同じ国で情報と教育に地域格差が出てしまうのは問題だろう。これは政治に問題があると言わざるえないのではないだろうか。
著者は格差解消のためにいくつかの提言を行っていて、やはり市民がもっと政治に関与するべきだと言っている。今まで国民はあまりにも行政に対し無関心すぎたためこ今の問題があるわけで、一般市民も一部責任はあるといっている。
確かにそのとうり。 将来、市長選にでるのもいいかもしれないなぁ、
以前に道州制が話題になったことがあったが、再度検討するのも面白いかもしれない。
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『悪女の人生相談』
2008-07-01 Tue
悪女の人生相談

『悪女の人生相談』 講談社文庫 鹿島 茂 (著)
これもタイトルと解説に騙されて買ってしまった本。解説には「もっと早く読んでいれば私の人生もかわっただろうに、、」なんて書いてあった。ちなみに解説を書いたのが林真理子だった。暇つぶしにいいだけで、これを読んでも人生に影響なし。ブログに書こうかどうしようか悩んだがせっかく読んだので書くことに。
これは雑誌に掲載された恋に悩む女性のための人生相談を文庫にしたもの。回答者は著者である大学の教授。著者曰く、
-アキバにいけば彼女のいない独身オタクがごろごろいるので選び放題、もともと日本の今の教育システムはオタクを多量に生産するシステムになっており、日本の男の大部分はオタクである。
-金もあり外見も内面もいい男など殆どいない。そんな白馬の王子がくることはないので、お金をとるか外見をとるか選択しなさい。
-相手の性格を変えようとしても無駄、相手に合わせたように見せるか、それが無理なら別れなさい。

男性ならではの回答のようにも思えるが、結局は相談するほうも答えはわかっているのだろうが、第三者に白黒はっきりと言ってもらいたいがために相談しているのだろう。この人生相談が人気があるかどうかはわからないが、白黒はっきりとした回答にはなっている。
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『ホカベン ボクたちの正義』 
2008-07-01 Tue
ほかべん

『ホカベン ボクたちの正義』 講談社文庫 中嶋 博行 (著)
マンガを文庫にしたもの。私はマンガは読んだことないのだが。
弁護士になりたての主人公が最初に手がけた仕事は、夫の家庭内暴力に悩む主婦の離婚調停。しかし妻は夫の暴力に耐え切れず夫を殺害してしまう。新米弁護士は情状酌量の余地があるとして執行猶予付き判決にもっていこうとする。しかし検事は夫に300万の保険金が掛けられていたとして実刑判決を目指す。弁護士とはいえ大手法律事務所の新米弁護士、会社としての利益を優先するのか
それとも社会正義をつらぬくのか主人公は葛藤する。
200ページくらいの小説なので簡単に読めてしまう。マンガであれば面白いと思うが、小説にしては少し簡単すぎるような気がしないでもない。来年導入される裁判員制度を意識して書かれているようだ。
このような事件が短期で判決を下されてしまうのはいかがなものかと著者は言っているように読める。
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『信長』
2008-07-01 Tue
のぶなが

『信長』 宝島社文庫 坂口安吾 (著)
織田信長が15歳から桶狭間の戦いで今川を破るまでの最も絶頂期であろう時代を書いた小説。
昭和28年に連載された内容を文庫化したものであるが、読んでいて古さを感じさせない。それはその当時としては珍しく口語調で書かれた文体であるためだろう。
周りからバカと揶揄されながらも、大胆なる決断と緻密なる謀略により周辺諸国を支配していく模様が
面白く書かれており、読み物としては面白い。
私も歴史小説を読んできたが、信長を主人公にした小説はやはり人気があるのではないだろうか。
江戸末期から明治維新にかけて描いた小説も同じように、その時代を大きく変えた人物は小説の題材に足りうるそれだけの魅力がある。
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