
『あんぽん 孫正義伝』 小学館 佐野 眞一 (著)
著者の本は数冊読んだことあり、テーマとなる人物を礼賛するような内容はまったく書かない著者なので、この本に関しても著者がソフトバンク社長の孫氏にたいしてどのような評価をするのか興味があり読んでみたくなった。恥ずかしながら私はこの本を読むまで孫氏が在日(韓国)の人間だとは知らなかった。
私はどうしても孫氏のギャンブル(山師)的な感じがぬぐえない。それは、朝日TVを買収しようとしたことや、ボーダフォンや球団を買収したことなどやることが大きすぎるためなのかもしれない。それも会社としてソフトバンクが紙面を賑わすのではなく孫正義個人をマスコミが取り上げられるためどうしてもそのような感情になってしまうのかもしれない。
TV局の買収や球団経営は 楽天やホリエモンもやってきたことではあるが、孫氏は彼らより2歩も3歩も先を見据えた経営をしているということであり、両氏とも孫氏には足元にも及ばないだろう。
孫氏が松下幸之助や本田宗一郎のように語られるのか もしくは単なるギャンブラーとして語られるかはあと30年ほど待たなければいけにないのかもしれないが、現時点では歴史に残る日本のオピニオンリーダーとして語られる資格は十分に持っているように思う。
今の孫氏(ソフトバンク)があるのは祖父が朝鮮から日本に炭鉱労働者として渡り、在日という差別や多くの辛酸をなめてきた孫家3代に亘る血がそうさせるのであろう。本書は孫氏のインタビューより父親のインタビューに多くの紙面がさかれていて孫正義氏の内容というよりは孫家の歴史みたいな本であるが読んでいて非常におもしろい。
孫氏が提言する「社会を豊かにする情報革命」に対し著者は「人間の本当の価値を決める”知の高等線”を一切なくしたフラットな社会に人間は本当に耐えられるかということである。一見平等なその社会は、おそろしく退屈で人間の努力や生真面目さを奪う結果になるのではないか。そんな世界が本当に実現したらなにを糧に何を目標に生きていけばいいのかわからない人間が大量に生まれ、、、」
私も読んでいてそのへんが非常に気になっていた。何でもすべてがいいということはありえないのだから。
これは啓発本ではないがビジネスに興味があれば一読の価値があると思う。